一般財団法人感性科学協会

日本感性工学会 大会 ナイトセッションの趣旨

ナイトセッションで扱うべきテーマは、JSKEの表の舞台、すなわち年次大会と春季大会の正規の発表では扱いにくい、敬遠されがちな、しかしながら、あるいは化けるかもしれないテーマを扱います。 たとえば、①学術的な要件を欠くとしても(ただし何をもって学術とするかは議論を要しますが)、アイデアとして評価に値するであろう内容、②実務的体験を踏まえた「わがもの造り・かが製品開発」の記録、③特許・商標・意匠・新案実用・著作(当然プログラムが含まれる)・著作隣接・種苗などの権利取得と事業展開、④他学会分野への浸食ないしは境界に属し驚きを伴うかもしれない内容、⑤わが研究結果の実業界への周知・・・などなどであります。 きっかけを作る意味で2024年度大会(第26回大会)では3つの区分(❶❷❸)を設けます。

【1】ナイトセッションの概要

2024年度大会(第26回大会)でのテーマ

区分(セクション) ワークショップテーマ発表者主務者開催予定日
ナイトセッションガイドASA
❶ 人間の感性と「ひらめき問題」1 就活スタイルと感性
2 法人の感性と事業
一部確定
検討中
古川
大谷
9/13夜
9/12夕
❷「感性に係る計測・評価の標準化」3 標準化にむけて必要な作業一部確定上條9/14夜
❸ これらに属さない任意のテーマ4 安心感・不安感のモデリング
5 学び続ける時代の感性教育
検討中
検討中
庄司
佐々木
9/11夜
9/14夜
❸ 同6 その他募集中

人間の感性と「ひらめき問題」、ここでは自然人だけでなく法人も含みますので、従前の個人の感性価値などの範囲に加え、会社・団体による事業の推進や会社経営にかかわる問題も扱います。主催側の狙いは別稿(クリック)をご参照ください。

❷ものづくりへの感性工学の普及を兼ねて「感性に係る計測・評価の標準化」であります。本学会の会員が公正妥当と認める感性に係る計測および評価の概念や手順の確立を目指します。

以上の2つはASA固有の研究テーマとして、数回連続し実施する特集であります。これまでもその含みで試行もいたしました。さらに、

❸これらに属さないテーマも取り上げます。ここでは枠を設けません。❶❷以外の任意のテーマを扱います。

【2】ナイトセッションでエントリー方法

大会ページから、所要の入力により申し込みを受けます。プログラムの扱いは、ASAにご一任いただきます。

1:ワークショップテーマの設定をご希望の場合

会員・非会員を問わず、大会参加費をご負担いただいた方に限ります。Google Formの「ワークショップテーマ申請」から、お申し込みください。ワークショップは申し込み者を主務者とし、主務者が単独で進めてもよいし、また、発表者をあらかじめ複数用意して実施することも可能です。その場合の発表者は大会参加費をご負担いただいた方に限ります。また、招待者・司会者を登壇させることはできますが、発表者の数を超えて登壇する場合は参加費をご負担いただきます。開催当日ご請求申し上げます。プログラムは所定の日までに確定し、あらかじめASAに届け出をいただき、公開しなければなりません。実施方法は現地開催(聴衆を集め登壇)する「オンサイト」方式とします。例外的に「Web開催」を併用する「パラレル」方式を認めます。

2:聴講をご希望の場合

どなたでも聴講可能です。Google Formの「聴講申請」から、お申し込みください。

3:プログラムの決定

 (一財)感性科学協会(ASA)の裁量でプログラムを編成いたしますので、お申し込み後のお取り計らいにつきましてはご一任いただきます。

【3】ナイトセッションのご留意事項

  1. ナイトセッションのプログラムはconfit(大会プログラム作成支援ソフト)の外で行います。
  2. 告知は日本感性工学会のホームページで行います。開催内容をお知らせいただければ、JSKE・HPに開催内容を掲載します。大会ホームーページ(Confit)には、掲載されません。ご連絡いただきたい事項は、(1)セッション名、(2)開催内容、(3)事前申込先などです。※セキュリティ対策上、ネット会議用URLはホームページ上に掲載いたしません。
  3. 実施前日までプログラムの変更がありえます。
  4. ナイトセッションの実施概要が決まり次第、全会員宛てに、ご参加のお誘いのメールを配信いたします。
  5. 最終プログラムは全会員宛てにメールでも配信する予定です。
  6. 基本的にOn Site(対面)での実施になりますが、Webで会場外との交信も可能です。パラレル(On Site+Web)をご希望の場合、必要な機材や事前準備、すべての操作は、参加者側でご用意・ご負担いただきます。ASAとしては会場の提供にとどまり、通信技術的支援は一切できません。必要な機材をお持ち込みいただくほか、Webに精通した操作者を技術責任者としてご登録いただきます。操作者はあらかじめ会場にお越になり、通信上のチェック・テストを十分に行うこととなどを条件とします。また、これにかかる費用は、ワークショップは申し込み者である主務者のご負担といたします。
  7. ナイトセッションにおける実行委員会が用意できる会場設備は以下の通りです。(1) プロジェクタ、(2) インターネット回線(有線)、(3) マイク(ワイヤレス2台)、(4) レーザーポインタ、※ タイマーハイブリッドで開催をご希望の場合には、各自でオンライン会議用機材などをご用意ください。機材の一例は以下の通りです。(1) パソコン、(2)  オンライン会議用システムおよび会議設定(Zoom、Teamsなど)、(3) オンライン会議用(カメラ、マイク、スピーカー)など。※   プロジェクタとパソコンはHDMIで接続しますので、プロジェクタのスピーカーからオンラインで参加されている方の音声は流れます。
  8. 応募いただいたテーマ内容が本大会の正規の発表にふさわしいと判断したものは、そのように回答させていただき、ナイトセッションから正規の発表のほうに移すことがあります。

ナイトセッションでご登壇およびご参加

ナイトセッションはいまのところ「大会セッションとは異なる裏番組」です。大会行事のうち、正規の発表(一般・査読・企画・新企画各セッションおよび特別講演)が終了した後の、夕夜の時間帯に実施していきます。むろん、夕夜に正規の発表が行われる場合の時間帯は除きます。それ以外の夕夜の時間帯を、もっぱらASAの裁量でプログラムを編成いたします。大会ページから、所要の入力により申し込みを受けます。

  1. 申し込みは会員または非会員であって、かつ、催事(本大会)の参加費を納入した方に限ります。
  2. 応募いただいたテーマ内容が本大会の正規の発表にふさわしいと判断したものは、そのように回答させていただき、ナイトセッションから正規の発表のほうに移すことがあります。
  3. ナイトセッションのプログラムはconfit(大会プログラム作成支援ソフト)の外で行い、実施前日まで変更がありえます。
  4. ナイトセッションの実施概要が決まり次第、全会員宛てに、ご参加のお誘いのメールを配信いたします。
  5. 最終プログラムは全会員宛てにメールでも配信する予定です。
  6. 大会会場の事情を考慮しながらWeb登壇・参加の可否を早めに決めます。
  7. 原則として、発表半年後を目途に公開する「講演論文集」に寄稿していただきます(J-Stageにて公開)。「講演論文集」は無審査論文の扱いですが、著者の裁量で、いわゆるdiscussion paper(research paper、position paperなど原著論文前段階の業績)のように位置付けても良いと考えます。
  8. 希望により、査読(有料)を経て、査読済み原著論文(有料)の手配をいたします。

本財団 設立の背景

日本感性工学会1998年に設立、その折の若干のエピソードは学会誌にあります。ひとつは初代会長の公式風、もうひとつは筆者の裏話風です。

当時、日本学術会議の第5部(工学)のなかに、領域別(機械とか電気とか)ではなく、課題別の委員会が設置されました。すなわち「人間と工学研究連絡委員会」で、そのなかに医用生体・安全・人間・感性という4つの工学の専門委員会が構成されました。吉川弘之会長の時代であります。

その専門委員会に小委員会が設けられ、そこに集った方々のなかの有志数名が資金を預け合い、300万円くらいの準備金をプールして創設準備活動をいたしました。吉川会長は、この学会の創設について、「実施するなら相当の覚悟をもって」と助言を受けたとのことでありますが、機械や電気のように体系が確立した分野と異なり、よほどしっかりした心構えがないと、胡散霧消しかねないと心配されたかと推定されます。

しかし、発足して活動を続けていきますと、次第に会員も増え、英文誌を含め、投稿論文数も増加しました。当初、英文誌も和文誌なみに年4回刊行するという意気込みでしたから、4回分の費用(印刷・配送費用)を計上したのですが、さすがにそれは無理で、その分、資金が余ってきました。そこで、有志から預かった資金を返済しても、何とか会務を継続していく基礎ができ始めました。

学会の本務は投稿や研究発表が充実・増加することにあります。雑用をできるだけふやさないという方針で運営してまいりました。ただ日本感性工学会は任意法人です。任意法人は身軽で柔軟に運用できる大きなメリットを備えますが、任意法人の理事者は無限責任であります。国際会議ひとつ実施すれば、数百万の赤字が出ないとも限りません。万が一、赤字が生ずれば、理事者は身銭で弁済することになります。ですから、財政的基盤はできるだけしっかりさせる必要があります。

20年経過した2018(平成30)年。任意法人である日本感性工学会(以下JSKE)が20周年を迎えたのを折に、日本感性工学会の溜まった資金5000万円を基金にして、一般財団法人感性科学協会(以下ASA/Affective Science Association)を設立いたしました(法人番号:4010005024881)。

信用補完+インボイス対応

このような経緯から、ASAの役割はJSKEの信用補完機能を果たすことです。したがって、ASA自体は、まさに静かに、純資産(資産―負債)を維持することが肝要でした。
しかし、2023(令和5)年 10 月1日、「適格請求書等保存方式」が施行されました。いわゆる「インボイス制度」であります。適格請求書には、適格請求書発行事業者の登録番号を記載する必要があります。任意法人には法人格がありませんので適格請求書を発行できません。そこでASAが適格請求書発行事業者になり、登録番号を取得した次第です(登録番号:T4010005024881)。
ASAはJSKEの会務(大会催事・投稿関連業務)に係わる収納を引き受けることになりました。収納を引き受けた以上は大会催事・投稿関連業務の執行者となり、所要の支出を担う必要があります。ASAはJSKEの会務について共催者となり、所要の責任を果たすことになります。
しかし、ここで疑問が生じます。会員が集い、相互に研鑽しあう大会催事・投稿関連業務にかかわる会員各位に負担に、消費税を加える必要があるのかという問題です。学会は町内会のようなものだと理解しています。町内の祭事で懇親会を開催したとき、そこで消費税をいちいち課税するのであろうか・・・。
現在、JSKEの大会行事で開催する懇親会費には消費税を加えてご負担いただいております。この方面の業界用語では「対価性」といいます。いまもって釈然とはしませんが、ここで議論をはじめても無意味なので、ASAでは大勢の赴くところ、他学会に準拠し、所要費用に消費税を乗せて請求いたしております。

JSKE自体の法人化や、ASAの公益法人化

当然のことながら、JSKE自体の法人化や、ASAの公益化は話題にはなります。しかし、法が要求する手続きや処理が増し、事務量が飛躍的に増加するので、人件費や業務委託費の負担が重くなります。それでも公益にすればJSKE会員各位の研究発表が増えるとか、何かメリットがあれば具体に検討もされるでしょうが、目下のところ、利点を見出しがたい状況にあります。
むしろ、会員各位のご尽力により、いまは Impact factorを高めことの方が重要かと存じます。

ASA独自プログラムとしてのナイトセッションの運営

ASAの定款㊟に、「当法人は,感性科学の振興を目的とし,その目的に資するため」事業を行うとあります。単なる経理事務屋・代金収納団体ではありません。共催者として大会行事に携わるからには、ASAもまた独自の見解をもち、大会運営にあたるべきであり、既述の「ナイトセッション」を実施することになりました。

2024/02/28 代表理事 大谷 毅

これまでの実施内容

第19回春季大会(開催期間:2024年3月7-8日)九州大学大橋キャンパスにおいて

  • 「ひらめきと感性工学」・・・2024年3月7日(木) 17:40 〜 19:00 B会場 (5号館 2階 524室)
    ・「ひらめきと感性工学・・・感性マネジメントの場合」大谷 毅氏(信州大学)
    ・「自由エネルギー原理から考える「ひらめき」と探究のサイクル-認識・創造性・感情の関係性-」柳澤秀吉氏 (東京大学)
  • 「感性に係る計測評価技術の標準化を考える」・・・2024年3月8日(金) 16:20 〜 17:20 A会場 (5号館 1階 511室)
    ・「誰か教えて感性計測評価-導入担当者の本音-」小関泰子氏 (ヤマハ発動機株式会社)
    ・「測った感性はどうやって活かす?」三井一志氏 (日本特殊陶業株式会社)
    ・「感性の定量計測・評価手法に係る標準化について-眠気検知技術における事例のご紹介-」石田健二氏 (株式会社デンソー)

第25回年次大会(開催期間:2023年11月20ー22日)タワーホール船堀において

  • パネル討論会:11月19日(日)18時~19時 「感性工学現在・過去・未来」座長:庄司裕子氏(中央大学)(ハイブリッド)オンサイト会場:4階 研修室(E会場)
  • 特別講演:11月21日(火)18時~19時 「感性のプリンキピアを拓く―自由エネルギー原理を起点として」 柳澤秀吉氏(東京大学)(ハイブリッド)オンサイト会場:2階 蓬莱(E会場)
  • パネル討論会(会長記念セッション):11月21日(火)19時~20時 「男女共同参画と感性」 座長:庄司裕子氏(中央大学)オンサイト会場:2階 蓬莱(E会場)
  • 特別講演:11月22日(水)16時40分~17時40分 「(仮題)・知性、理性、そして感性」乗立雄輝氏(東京大学)(ハイブリッド)オンサイト会場:4階 研修室(E会場)
  • パネル討論会:11月21日(火)19時~20時30分 「事業計画と感性&新規事業と感性」座長:高山純人氏(宮城大学)会場:4階 401室(C会場)
  • フリーディスカッション:11月21日(火)17時~19時 「感性商品の挑戦」座長:長沢伸也氏(早稲田大学) 会場:5階 小ホール(S会場)
  • 研究発表会:11月21日(火)19時~19時30分 「リニア駅と橋本地域発展への期待:鉄道会社と連携したテキストマイニング オンサイト」松原弘明氏 他(東京工業高等専門学校)会場:4階 407室(D会場)

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